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宇部の貸本店「小串文庫」が55周年-「昔ながらのスタイル」で会員9千人

宇部「唯一」の貸本店・小串文庫の店主・山田千足さん

宇部「唯一」の貸本店・小串文庫の店主・山田千足さん

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 コミックを中心に貸し出す宇部の貸本店「小串文庫」(宇部市南小串2、TEL 0836-21-5540)が10月、オープンから55年を迎えた。

55年前と変わらないスタイルの「貸し出しカード」

 宇部貸本業組合(当時)の組合長だった三戸秀士さんが1957(昭和32)年にオープンした同店。1万冊近くの本が並ぶ店内には、昭和30年代から近年にかけてのコミック漫画を中心に小説や雑誌などをそろえる。現在は、三戸さんの次女・山田千足さんが3代目店主として17年前から切り盛りする。

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 「これまで、パソコンなどを使わずに手作業で本を管理してきた」と山田さん。表紙には一冊ずつテープカバーを貼り、厚紙を切って本に挟んだ「貸し出しカード」に利用客の会員番号を記入して貸し出す。「お客さまとの信頼関係で成り立っているので、根詰めて返却の催促などもしない」と笑顔を見せる。

 1971(昭和46)年に始めた会員制は、開始から約6年で会員数約2800人、現在では約9000人に上る。昭和中期の「貸本ブーム時代」には宇部エリアに70~80社あったという同業者も今では「同店だけ」(山田さん)。主婦層をメーンに老若男女を問わない客層で、1日に約100冊の本が動く。

 近年の様子について「昔は近くの病院の患者さんや学生などの利用が多かったが、時代の流れか10年ほど前から客足が変わった」と憂いながらも「常連さんの顔やここがお客さま同士のコミュニケーションの場となっていること、私自身が楽しんでやっていることを思い返し、ここまで続けることができた」と振り返る山田さん。

 「大手にはかなわない部分もあるが『安く読書の機会を提供したい』という父の思いは、今もそのまま私が受け継いでいる。数々の絆が生まれたこの店で昔ながらのスタイルを貫き通したい」とも。

 料金は1冊50円(2泊3日)、10冊以上で7泊8日のレンタルも可能。営業時間は9時~20時(土曜・祝日は19時まで)。火曜・木曜・日曜定休。

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