特集/コラム
山口の冬の観光に新しい風
「山口お宝展」に若者が集う
山口市の冬の観光の目玉として昨年1 月より始まった「山口お宝展」。今年で2回目となる開催を終え、来年に向けての準備が始まろうとしている。今回の特徴は、「お宝展」を訪れた人の中に、若者の姿が目立ち始めたこと。「お宝展」という言葉からは中高年向けの企画ととられがちで、昨年は高齢者の姿が目立った。しかし、今回は「若者」の姿も目立ち、山口の観光に新しい風が吹こうとしている。
■冬場の観光の切り札
山口市は国宝瑠璃光寺五重塔や雪舟庭、ザビエル記念聖堂などの観光地で有名。また、西日本随一の湯量を誇る湯田温泉も、山口市を代表するもう一つの顔だ。秋の行楽シーズンには多くの観光客で賑わい、湯田温泉の旅館は満杯になることが多いが、冬場は一転して激減する。イベント開催も秋に片寄りがちであり、いかに冬の閑散期に滞在型の観光客を呼び込むかが、山口市の経済活性化の大きなポイントだ。そこで、山口商工会議所が音頭をとり、山口観光コンベンション協会、湯田温泉旅館組合、山口市など、官民一体となった山口お宝展実行委員会が組織され、開催に至った。
今年2月18日に2回目の開催を終え、冬場の観光客を増やすという初期目的は達成されたと言えそうだ。
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■来場者数推移
第1回山口お宝展は2006年1月20日から2月12日まで、山口市内の約20カ所の公共施設(博物館ほか)、神社・仏閣、さらに湯田の旅館、商店街などで複合的に開催され、24日間で目標の3万人を大きく上回る約13万人が訪れた。来場者の内訳は、山口市内、山口県内からの来場者が約65%を占めるなど、日帰り客の姿が多く目立った。
国宝瑠璃光寺五重塔の一層部分を50年ぶりに「ご開帳」したことが大きく話題を呼び、五重塔への一極集中を招いた。他の施設へ人の流れを分散化させる事が課題となった。また、日帰り客が多く、湯田温泉への宿泊増にあまり繋がらなかった。これらの反省点を踏まえ、第2回山口お宝展ではナイトイベント(キャンドルライト・狂言・コンサートなど)も多数企画された。開催期間中の来場者数は13万人から11万人に減少したが、比率の上では県外からの来場者数が約7千人(25%)ほど増えた。一部の湯田温泉の旅館では、予約が満杯の日も出現した。
県外からの観光バスの台数も昨年より50%伸び、宿泊を伴う観光客の数は確実に増えたと言える。しかし、その大半が萩市内、長門市内など、市外に宿泊しており、湯田温泉での宿泊増に大きくつながらなかったことは、皮肉な反面、事前の宣伝方法など、まだまだ改善の余地があるということかもしれない。
■産業の活性化へ・・・
山口市の産業構造は商業・サービス業などの第3次産業の生産高が全体の約85%を占めるなど、山口市は商業都市の顔を持つ。同時に街並みは今でも落ち着いた佇まいが随所に残り、美しい文教都市として発展している。「終の住処」として山口に永住する人も多い。現在の人口は19万人だが、毎年、わずかながら増加している。
反面、第2次産業の生産高に占めるウエートはわずか。いわゆる雇用の受け皿となりやすい製造業が少なく、「働き場」が不足していることも否めない。東京への一極集中がますます高くなる中、同様の課題を抱える地方都市が生き残る道のりは、まだまだ遠い。若者が地方都市に定住するには、そこで生活の基本となる収入が得られることが大前提になる。山口市に若者が定住するには、外貨を稼げる第3次産業をさらに振興し、若者が生き生きと働ける場を創ることが重要な課題となる。
山口市の商店街は、休日になれば多くの買物客で賑わう。いわゆるシャッター通りではない。若者のファッションに特化した店舗づくりが幸いし、若者を街に引き寄せている。高齢者だけが住みよい街にするのではなく、若者にとっても働き場のある、住み良い街にすることが、街の持続的な発展には不可欠だろう。
■明治維新の進取の気風をもう一度
今回のお宝展では、比較的「若者」の姿が目に付いた。大型バスなどの団体旅行においても、マイカーなどの個人旅行においてもしかりである。この流れを深く分析し、来年はさらに若者が訪れる催しに成長させ、魅力を発信することがポイントになる。
待っていても人は来ない。いつも前向きにチャレンジし、新しさを入れていく「進取の気風」を、お宝展を通じて改めて山口に定着させてほしい。元気なまちには人が集い、新しいビジネスも生まれてくる。
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