特集/コラム
渡辺純忠山口市長に聞く
山口市の中心市街地活性化戦略
“重層型コンパクトシティ”を目指して
06年度の1年間をかけて山口市が策定した「山口市中心市街地活性化基本計画」が昨年5月28日、国に認定され、まちににぎわいと活力を取り戻すべく、各種事業が動き始めた。行財政が厳しさを増す中で、地方自治体はどこも生き残りに必死。そんな中、全国に先駆けて独自策を打ち立てた山口市は、中心市街地活性化をキーワードにこれからどのような道を歩もうとしているのか。県都・山口市の今後のまちづくりについて、渡辺純忠山口市長に話を聞いた。
―― 明けましておめでとうございます。
渡辺 おめでとうございます。市民の皆さまには、お健やかに新春を迎えられたこととお喜び申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
―― さて、早速ですが、なぜ今、中心市街地活性化なのでしょうか?
渡辺 本市の中心市街地は、永年に渡って歴史・文化・伝統を育み、人や物、文化の交流拠点となってきた要所。この山口市の“顔”に活気があるか、また市民にとって魅力的な場であるかということは、まち全体、あるいは市全体にとって大変重要な意味を持っています。我が国は人口減少社会・低経済成長時代に突入しており、従来のような都市拡大を前提とした考え方は、もう今の時代にはそぐわない。県人口が大幅に減少する中で、かろうじて増加傾向を示している本市も人口増加率は次第に低下してきており、いずれは全国や県の状況と同様になると予測されます。やはりこれからは、単に都市を大きくしようというのではなく、基盤となる核をしっかりと作るべきです。都市の核となるような、求心力を持った中心市街地が存在するかどうかが、市全体の発展につながると考えています。
―― それが基本計画の出発点なのですね。
渡辺 国は06年に、中心市街地における都市機能の集積や経済活力の向上を実現し、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを推進する目的で「まちづくり三法(中心市街地活性化法・大規模小売店舗法・改正都市計画法)」を改正しました。これにより、コンパクトシティの実現に向けた取り組みを進めるという一つの方向性が明示されたわけです。本市はこの法改正を受け、中心市街地の衰退傾向に歯止めをかけるとともに、なお一層の活力を取り戻そうと、1年をかけて従来の計画を見直し、新法に基づく同計画を策定しました。設定エリアは山口市中心商店街を挟む県道山口大歳線からJR山口線にかけての地域、約75ヘクタールで、計画に記載しております26の事業は、07年から5年間のうちに実施、かつ成果目標を達成することを前提に掲げています。記載事業の中でも、実施主体の山口道場門前商店街振興組合さんといち早く取り組みました「どうもんパーク事業」では、旧ダイエー(どうもんビル)解体跡地に新たな複合商業施設「どうもんパーク」を建設。1階に核テナントのコープやまぐちを迎え、12月12日に無事オープンすることができました。2階には歯科医院と街づくり山口(TMO)がすでに入居しており、3月にはNHK文化センターも加わってグランドオープンする予定です。
―― 山口市におけるコンパクトシティとは?
渡辺 そもそも山口市は、山口町が吉敷村と合併して誕生し、宮野村や南部の町村等を編入して大きくなった後に、05年の大合併で現在の姿となりました。つまり、合併を繰り返しながら拡大した、という背景があるのです。町であれ村であれ、どの地域にも必ず生活の拠点となる場所が存在します。そして、合併後もそれが如実に残っているのが山口市の特徴だと感じています。だからこそ、それぞれに機能を持つ各地域の拠点が幾重にも重なるように結ばれた「重層型コンパクトシティ」を本市は目指したい。同計画の対象である中心市街地のみに機能を集積させた、中央集権的なコンパクトシティでは意味がないのです。求心力を持った密度の高い中心市街地が核として存在し、その周辺にそれぞれの地域拠点があって、人や物、サービスが相互に行き交うというのが理想。これだけ成熟した社会になると、量的な拡大よりも、多様性や個性、歴史、文化といったより人間的な価値が大事になってきます。人口構造、経済、文化、環境などあらゆる側面において持続可能な都市を、広域的な視野で形成していきたいと思っています。
―― そうなると、市民のまちづくり参加は絶対不可欠ですね。
渡辺 同計画の策定にあたっては、商工会議所、TMO、関係者、民間のまちづくり団体、消費者団体や学識経験者らで組織された協議会と密に意見を交わして参りましたし、今後も行政主導ではなく、民間と行政とが一層の連携を図り、両輪となって進んでいかなければ実現には至らないと考えています。このたびの取り組みは、中心市街地、本市にとってある意味最後のチャンス。そのような状況下で、同協議会をはじめ、まちづくりにかかわる各種団体が積極的に活動して下さっていることは大変心強く思います。幸いにも中心市街地には、自然・歴史・文化、そして人に恵まれているという大きな魅力があります。この地域資源を十分に生かしながら、官民協働でのまちづくりに取り組み、より多くの方にその魅力に気付いていただき、ともに山口市を盛り上げていきたいですね。
―― 山口都市核において、中心市街地はどう位置付けられているのですか?
渡辺 山口都市核は、国宝瑠璃光寺五重塔をはじめとする大内文化の魅力を伝える大殿地区一帯の「大内文化ゾーン」、官公庁や美術館などの文化施設が集積するパークロード・亀山周辺一帯の「亀山周辺ゾーン」、県下一元気なアーケード街を有する「中心商店街ゾーン」、山口情報芸術センターを中心に世界的な交流が展開されている「情報・文化ゾーン」、山陽路随一の名湯と誉れ高い観光宿泊拠点の「湯田温泉ゾーン」の5つからなっており、ゾーンごとに異なる資源と魅力で物心両面を充足させられるという特長を生かして、広域経済・交流圏の拠点にしたいと考えています。とりわけ同計画の対象エリアでもある中心商店街ゾーンは、消費やサービスの受益の場として市民生活を支えるとともに、多様な人々が恒常的に交流する都市の中心・まちの顔ですから、地元の事業主体の方々と力を合わせ、先導的かつ重点的な整備を進めます。具体的には、商店街の魅力向上、山口駅周辺整備、街なか居住の促進、交通アクセスと回遊性の向上を柱に、西の核としての「どうもんパーク」に引き続き、東の核としてのアルビ跡地の整備や一の坂川周辺の整備などに着手します。
―― 小郡都市核との連携についてはいかがでしょう?
渡辺 小郡都市核は交通アクセスの優位性を生かし、事業所等の経済活動を支える「経済交流拠点」として機能強化していきます。現在、先導的に新山口駅ターミナルパーク整備事業の構想・計画策定を手がけており、駅北の市土地開発公社所有地の開発も進める予定です。山口都市核と小郡都市核、特性の違う両都市核は、本市が目指す重層型コンパクトシティ・ネットワーク構造の中心地、市民生活を支える拠点としても緊密な結びつきが必要になりますから、特に小郡都市核に不足している小売りの商業機能を補完する中心商店街が活性化すれば、両都市核を行き交う人の流れも自然に促進されるでしょう。ただし、JRの利便性や接続など、交通輸送の連結にはまだまだ問題が多いのも事実。それらの課題も含め、市民や民間事業者の新たな発想、創意工夫、知恵をいただきながら、今後のまちづくりをともに進めていければと考えています。市民の皆さんの積極的な参画に期待しています。
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