特集/コラム

【ヤマ経インタビュー】2008-03-14

カフェがお好み焼き屋を出店−あの味を復活! 破天荒な店主がこだわりの店

 中市商店街アーケードに3月17日、お好み&鉄板焼きの店がオープンする。喫茶とクレープの店「domani(ドマーニ)」(山口市中市町1-21、TEL083-924-2577)が棟続きに新規出店するもので、店名も同じくドマーニ。停滞気味の商店街に、異色ジャンルの新店舗を仕掛ける村井了(れお)代表(42)に、その胸の内を聞いた。

ドマーニの村井了代表―― このたび開店される新店舗について教えて下さい。

村井 ドマーニの隣にお好み焼き屋をオープンします。店舗面積は12坪で、席数はカウンターとテーブル、小部屋を合わせて22席。女性も入りやすいよう、シックでおしゃれな造りにしています。一番の売りは厚さ25ミリの鉄板で、通常のものに比べ5ミリは厚い特注品。コストはかかりますが、この鉄板を使うと表面はパリッ、中はふんわりと焼けて、めちゃめちゃ美味しいんです。メーンのお好み焼きに、素材本来の味を楽しめる鉄板焼きメニューを加え、11時から23時まで営業します。

―― 従来のドマーニからはイメージしにくいのですが、なぜ「お好み焼き」なのですか?

村井 今は無きお好み焼き屋の味を復活させたくて。それだけです。小学生時代から通い詰めた「しず」という店が東山にあって、そこのお好み焼きがずば抜けて美味しかったんです。もともと関西人ですから、子どもといえどかなり舌は肥えてましてね。しずばあちゃんが一人で切り盛りしていたんですが、ほんと隠れた名店で。今でもその店の味を忘れられないという人がうちの店に来て、お好み焼きを頼まれることがあるんですよ。よく買い出しのお遣いをしてたんで、材料は全部知ってますし、なぜかしずばあちゃんは私だけに、生地の配合を教えてくれましたから。ただ、焼くのがフライパンじゃあ、逆立ちしたってあの味は出せない。長年温めてきた思いを、ここにきてやっと実現したってわけです。

―― 関西のご出身なのですね。

村井 私は兵庫県神戸市出身で、小学3年生の時、1974年に家族で山口市に移り住みました。今から35年前、72年に県内出身者の両親がドマーニを開業し、初めのうちは母の弟に店を任せて神戸と山口を行き来していたのですが、こっちの店が忙しくなったので腰を据えようと。山口駅に初めて降り立った時、木材を引く馬が駅前を通り過ぎていく光景に、とても驚いたことを覚えています。タイムスリップしたのかと思って。商店街も米屋町と道場門前以外はアーケードの屋根がなく、舗装もされてなくて、店の前は砂利道でした。

―― ギャップは大きかったでしょうね。

村井 当時は県外からの転校生なんて滅多にいませんでしたから、それはもう“異人”扱いでしたよ。同級生にまぎれようとしても、ジーンズの半パンを履いたマッシュルームヘアの私は嫌でも目立ちましたし、その上バリバリの関西弁。私は普通に話しているのに、先生にふざけていると勘違いされ「しゃべるな」と叱られたこともあります。でも、そんな言葉もどこ吹く風。もともと活発でしたし、こんな性格なんで、我が道を突き進みましたね。たくさんの友達にも恵まれましたし。

―― すんなりと家業を継がれたのですか?

村井 中学・高校と山口で過ごし、福岡の大学に進学。ところが、飲食店でのアルバイトに熱中し、学生生活の大半を料理に費やしました。本格的に料理を始めたのはこの頃です。周囲の協力で何とか卒業できたのですが、今度は卒業と同時に単身ニューヨークへ。高校時代に観た50年代の映画「アメリカングラフティ」に憧れ、着替えの入ったバッグと現金3万円を握りしめ、英語も分からないままマンハッタンを目指したんです。子どもの頃から本当に後先考えないんですよ。とりあえず、行けば何とかなるってね。

―― それで、どうなりました?

村井 公園に寝泊まりしながら3日間街をさまよった末に、偶然日本料理の店を見つけました。それが何と、大学時代にバイトしていた飲食店のチェーン店舗だったんです。そこで働けることになり、本当にラッキーでした。その上、たまたまマンハッタンに来られていた日本料理の重鎮と巡り会い、その方の下で板前の腕を磨かせていただくという、あり得ない幸運にも恵まれました。ただし、当時のマンハッタンは特に治安が悪く、普通に生活するにも常に命がけでしたけれど。

―― 山口へはいつ戻られたのですか?

村井 日本に帰る気は全くなかったんですけどね。父が倒れて危篤状態になり、渡米からちょうど1年後の89年4月に帰国しました。店を継いだのはその後。しばらくは復帰した父と一緒に店を営んでいましたが、景気が落ち込みだした98年にメニューを一新し、私独自の店づくりを始めました。釜揚げパスタなどこだわりのイタリアン、リーズナブルな創作料理をメニューに加え、01年には念願のクレープ屋も始めました。

――とってもパワフルな方ですね。今後の展開も楽しみです。

村井 中学の時に事故で亡くした母が、すんごい料理の上手い人だったんです。神戸時代の貧しい暮らしの中で、高級料理は食べられなかったけれど、母は安い食材を驚くほど美味しい料理に変えて食べさせてくれた。そのおかげもあってか、昔っから食べるのも作るのも大好きなんです。そして、自分の作ったものを皆さんに美味しいと喜んで食べてもらえることが、何よりうれしい。最終的な夢は家族でカナダに住むことですが、それが叶うまでは、まだまだいろいろなことに挑戦します。

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