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宇部の洋風居酒屋「知路留の舘」が閉店 45年の歴史に幕、店主「最後の日もいつも通りに」

「お店を通しての縁は何事にも代えがたい宝」と話す店主の中谷さん

「お店を通しての縁は何事にも代えがたい宝」と話す店主の中谷さん

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 宇部市中央町の「洋風居酒屋 知路留の舘(ちろるのやかた)」(TEL 0836-31-6246)が5月31日、閉店する。

5月31日で閉店する「知路留の舘」

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 1975(昭和50)年11月、現店主・中谷彰さんの父・博さんが東京からUターンし料理人に転身して出店した同店。当初は、宇部新川駅近くの「新川ビル」で営業していたが、1995(平成7)年に現在の場所に移転した。45年間にわたり、カジュアルに洋食が楽しめる店として地元民から親しまれてきた。

 彰さんは21歳で店に入り、今から20年ほど前に店を継承した。モットーは「来店客とのコミュニケーションや関係性作り」。グルメイベントなどの運営や市民活動にも積極的に参加し、近年ではサッカーJ2・レノファ山口の応援や選手の食事サポートなども公式に引き受け、力を注いできた。

 閉店の決断をしたのは4月下旬という。彰さんは「新型コロナの影響」と肩を落とす。「昨年2月ごろから宴会予約がなくなり、来店客も減り、厳しい状況に立たされた。代替策として食事利用の提案や弁当の提供など努力はしたものの、それまでの売り上げを補うまでにはいかなかった。先が読めない中で商売の楽しさも忘れてしまいそうになり、気持ちを保つことさえ難しくなった」と静かに話す。

 ビジネスマンでにぎわったランチ営業は、ひっそりと4月末で終えた。5月24日にフェイスブックを通じ閉店を明かすと、地元民やファンから名残を惜しむコメントが続々寄せられた。現在、店には「最後にもう一度」と訪れる客が多くいるという。

 中谷さんは「店を通して、語り尽くせないほどの出会いがあった。やり残したことはあるが、今は心の整理もついて前向きな気持ち。こんなにも多くの方に愛してもらってきたのだと改めて感じ、感謝で涙の出る思い」と目を細める。「最後の日もいつも通り営業したい。またいつか、小さな自分の店を持つ日が来れば」と笑顔を見せる。

 営業時間は18時~22時。

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